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傑作中の傑作

いつ読破したのか分からない。暑い夏の日、自転車の整備を待つ間、有楽町のドトールで最後のページを読んだ事だけは覚えている。


横山秀夫/クライマーズ・ハイ★★★★★
1985年8月12日、群馬県上野村山中の御巣鷹山に日航ジャンボ機が墜落した。その夜、販売局の安西と共に、衝立岩の登攀を予定していた悠木は、墜落の一報がもたらされた直後、局長の粕谷によってこの未曾有の大事件の全権デスクに任命される。

40歳の悠木は社内最古参の記者であった。北関東新聞本社所属の「遊軍記者」として、部下を持たず、自由気ままに動ける特殊な立場であった。

一方、安西はその夜、路上で倒れ病院に搬送されていたのである。

空前の大事件発生からの1週間、本社編集局の壮絶な日々と、事件から17年後、生粋の登山家であった安西の血を引く息子と、衝立岩に挑む現在の悠木の姿をカットバックさせながら、物語が展開されていく。そんな話。

横山秀夫、渾身の一作と言えるだろう。彼の上毛新聞記者時代の経験が十二分に活かされている。もちろん、人間の心理の本質を抉り取るような表現も顕在である。

指揮権を委ねられ、その瞬間、瞬間で常に己を試され続ける悠木の葛藤を軸に、読者にジャーナリズムの本質とは何かを問いかけているように感じられた。

嵐のような日々の中でも、編集局、広告、販売、出版局それぞれの思惑が複雑に絡み合う。会社組織におけるセクショナリズムの弊害がリアルに描かれている。これもまた横山秀夫が得意とするところである。

「過去」のラストのシーンには本当に感動した。マジで泣ける。

墜落事故前、何故、山に登るのかという悠木の問いに対し、
下るために登るんさ
と謎めいた答えを残した安西。

その言葉の真意が次第に明らかになっていく点だけを切り取れば、優れたミステリーとも言えるが、オレにとっては明らかなヒューマンモノ。

本当に素晴らしい小説だ。読んだ方が良いです。絶対に。

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