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クレーマー

本日の昼休み、某ラーメン屋に行った。

カウンター席に着き、お冷を持ってきた店員の姉ちゃんに、その場で、和風つけ麺大盛りを注文した。

つけ麺を待つ間、オレは長らくカバンに入りっ放しであった重松清/「卒業」を読む事にした。

今日が読み始めである。最初から重松節全開。主人公は40歳の、会社では優秀なサラリーマン。しかし、彼は家庭に大きな問題を抱えている。お約束とも言える展開。

おそらく、男は苦悩しつつも、解決できるかは分からないが、それでも問題としっかり向き合い、何とかしようと思うのだろう。

オレの大好きなヒューマンモノ。食い入るように読み続け、一瞬、時の経つのを忘れてしまった。

40ページに差し掛かった辺りでようやく思った。

『遅せーな、つけ麺』

改めて辺りを見回すと、オレより後に入店した客2組が既に、食べ終わろうとしているじゃないか。これは完全にスルーされているとしか思えない。

時計に目を落とすと、入店してから18分間が経過している。いつの間に。やっぱり、時間はいつも冷淡だ。

店員達は厨房の傍で、呑気におしゃべりをかましている。この状況はおかしい。どう考えてもおかしい。

自分が置かれた状況を把握した今、やるべき事は1つしかない。

目の前のブザーを押し、店員を呼んだ。やって来た店員は先程、注文を受けた女性とは違う姉ちゃん。そして、一言

「何でしょうか?」

何でしょうか?じゃねーよ。

「注文してから15分以上経ってるんですが、まだ頼んだモノが来ないんですけど、どうなってるんですか?」
こういった場面で、怒鳴り散らすのは非常に見苦しい事だと分かってはいるものの、言葉の端々に棘があったのは否定できないところだ。苛立ちを含んだ、『例の表情』を浮かべていたかも知れない。

店員は、小走りで奥に戻っていった。すると、45秒後、つけ麺が出てきた。

持って来たのは、30台の男性。一見して、社員だと分かる。
「遅れまして誠に申し訳ございませんでした」

丁重に頭を下げている。

何故、文句の一つを言った途端、すぐに出てくるんだよ?このスピード感に逆に腹が立ってしまった。オレは、本来ならすぐ出せる筈のつけ麺が出てくるまでに、都合19分も待たされた訳だ。

待たされたのに、ちっとも美味くねえ。いや、むしろ酷くマズイ。

速攻で食って、伝票を掴んでカウンターに向かう。会計を済ませ、店を出ようとしたその瞬間、さっきの社員風男性がオレの元へ走ってきた。そして、殊更大きな声でこう言った。

「お待たせして、本当に申し訳ありませんでした」
それ、さっきも聞きました。

カウンターの側にいた客が、何事かという顔をしてオレ達の方を見ている。何かさ、これじゃあオレが、物凄くクレームをつけた客みたくなってんじゃん。

オレは、形だけの(そうじゃないかも知れないが)、その場しのぎとも思える謝罪なんて求めていない。

注文を取った人がずっと、何も食べずにいたら、おかしいと思おうよ。それくらい察っして下さいよ。察っせられない人は好きじゃない。

今後、オレのような思いをする人が出て来ない様な、そんな環境を作ってくれる事を切に願います。

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