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心にズシリと響く小説

警察小説で有名な横山秀夫は、デビュー前、「読者の心にGがかかる」小説を書きたいと誓ったそうだ。横山は、現在それを見事に具現化している。

代表作は、『半落ち』、『クライマーズ・ハイ』、『出口のない海』他多数。これら3作はいずれも映画化されているので、聞いた事があるのではないだろうか。

最近は、以前(07.09.20参照)、この駄文にも書いた会社の図書館から、横山秀夫の作品ばかりを借りて、読み漁っている。もはやファンである。

横山秀夫/第三の時効★★★★★
表題作「第三の時効」を含む全6話の連作短編集。F県警捜査一課強行犯係はは3班構成で、班長3人はいずれも癖の有り過ぎる人間だ。捜査における独断専行などは日常茶飯事。それぞれの班がメインで扱われる話があり、硬質な筆致で、それぞれの人間性のコントラストが見事に描かれている。この3人が展開する捜査一課内における覇権争いは本当に凄まじいものがあるが、それが返ってリアリティを持って迫ってくる。

彼等の部下、超個性的な班長を束ねる(むしろ、束ね切れていない)のに苦慮する課長など、脇を固める登場人物の設定も秀逸であり、厳格な階級組織の中で、上司と部下という立場に置かれた彼等が織り成す泥臭い人間関係も見所の一つとなっている。

この作品は、ミステリー小説に分類されるかも知れないが、オレにとっては完全にヒューマンモノである。それぞれの人間が放つ、苦悩、葛藤、トラウマ、執念、自尊心などに魅せられた。楽天的で、幸せそうに見える人でも、腹の底では、様々な事を抱えているものなのである。それが真理である。それが巧く描かれている。この作品における横山の人物描写は芸術の域だね。心にズシリと響く

最も好きなのは、「囚人のジレンマ」という話。ゲーム理論、経済学で用いられる言葉である。この話のラストは、割とストレートに人情味が出ていて良い。非情で冷徹な人間の心の奥深い所に存在した「温かみ」、オレは、この手の展開にやられちまうんですね。

少しでも気になった人は是非読んで欲しい。この小説には、漫画や映画にないモノが確かに存在する。

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